喪中と忌中期間 神社やお寺への初詣と厄除けと厄払いの違い
2015/11/21
身内に不幸があると、喪中や忌中という言葉がついてまわります。
そしてこの期間中は、初詣に行ってはいけないと聞いたことがあるし、
厄除けと厄払いも同様に行ってはいけないという人がいます。
また、初詣には神社へ行きますが、よく考えればお寺でも行っているので、
どちらにお参りに行くのが正しいのか、ご利益があるのか、
など色々気になるところです。
・喪中と忌中期間の参拝や初詣
・神社やお寺の初詣の違い
・厄除けと厄払いの違い
この3点について順番に紹介します。
喪中と忌中期間に初詣に行くこととその違い
喪中(もちゅう)と忌中(きちゅう)という言葉の使い方は類似していますが、
全く”似て非なる言葉”になります。
それぞれの期間中は、
参拝や初詣・お札やお守りの購入やお焚き上げ・おみくじ・お祝い事など、
何をどこまで行っていいのか、またはいけないのか、
色々迷うところだと思います。
先ずは喪中と忌中の違いを説明します。
喪中(もちゅう)とは
近親者が亡くなった時、一定の期間は死を悲しんで嘆いたり、行動を慎むことです。
期間について特に決まりはありませんが、最終的には自分の意思に委ねられます。
要約すると、喪中とは = 自分自身の判断で喪に服し、祝い事など控える期間です。
喪中期間は、神社に”参拝出来ない”ではなく”参拝しない”、が正しい解釈なので、
参拝に行くか行かないかは自分で決めて構わないということです。
だから、各種のお札やお守りの焚き上げや、おみくじを引いて大丈夫です。
決して参拝出来ない、お炊き上げしてもらえない、おみくじできない、
という訳ではありません。
大切なことは、これらの行動を行って良いか悪いかではなくて、
これらの行動を行いたいか、行いたくないかということになります。
忌中(きちゅう)とは
近親者が亡くなった時、一定の期間は死を悲しんで嘆いたり、行動を慎むことです。
死というものは最もけがれていると考えられ、50日間謹んで生活することです。
古くは、門戸を硬く閉じ、酒肉を飲食しない、弔事・祝い事をしない、
音曲を鳴らさない、嫁をとらない、財を分けるようなことをしない、
など、このような習慣が暮らしの中に根付いていました。
つまり、忌中とは回りにも迷惑や災いがかかるので、
何もしてはいけない期間だったのです。
しかし、それだと学校や仕事にも行けずに日常生活に困ってしまいます。
だから古い習慣が部分的に受け継がれていますが、
近年の忌中は曖昧な物になってきています。
要約すると忌中とは = 全てを避ける期間のことです。
近年では神社に関わる事やお祝い事に関してだけは避けて、
晴れがましい事や派手な行動などは、正月や初詣に関係なく50日間何もできません。
だから忌中は玄関の正月飾り(注連縄、門松など)や、鏡餅等の飾り付けや正月料理など、
新年を喜ぶお祝いはしないのです。
年賀状の送付と受け取りは?
基本的には年賀状ではなく、喪中はがきを出します。
喪中はがきとは、11~12月初旬に年賀状を遠慮しますよ、
という内容の”年賀欠礼”を葉書で出します。
1、普段年賀状のやりとりをしている相手には、相手が年賀状を用意する前、
年賀郵便の受付が始まる前までに、年賀欠礼の挨拶が届くように葉書を出します。
2、喪中葉書の書き方のコツは、
・「喪中につき、新年のごあいさつを失礼させていただきます。」
・「誰が、いつ、何歳で亡くなったのか」
・「故人が生前お世話になったお礼や挨拶」
などを記述して下さい。
3、年賀状の受け取りは、
年賀状を受け取ることは全く問題ありません。
先方が新年の挨拶ですので有難く受領してください。
決して失礼には当たりません。
喪中と忌中の期間
明治7年に太政官布告が出され、表のように喪中と忌中の期間が定められていました。
現在この法令は全て昭和22年に廃止されていますが、
今でも一部の地域では、この期間の習慣が残っています。
※昭和22年に廃止された太政官布告”忌服令”です。
当時の喪中期間の目安としてご覧ください。
初詣に行っても構わないのか?
基本的にご不幸があった年の初詣に行くことは問題ありません。
200日経って、自分がまだ喪に服しているといえば喪中ですし、
60日後喪が明けたと言っても構いません。
ただし、神社もお寺も亡くなってからしばらくは、忌み嫌う期間があります。
神社へは忌中の五十日間、参拝してはいけません。
お寺では仏教でいう四十九日忌まで控えて下さい。
次は神社とお寺についてお話しします。
神社とお寺の初詣とその違い
初詣は、神社に行ってもお寺に行っても社、特に大きな違いはありません。
元々は、年籠(としごもり)といって、氏神の社に籠もったのが初詣の始まりとされます。
だから、本来は神社に行くべきでしょうが、これには少し補足があります。
江戸時代終盤まで、神仏習合により仏様と神様が同一視されるようになりました。
庶民にとってお寺も神社の呼び名が違うだけで、
どちらも自分たちを守ってくれる、同じものとして受け入れられてきました。
だから、今でもお寺と神社の初詣の違いや、どちらかの良し悪しなどはありません。
しかし、明治時代に入ると廃仏稀釈の令が出ました。
廃仏稀釈とは、仏教寺院や仏像などを破棄して、
寺院が受けていた特権を廃止したことですが、
この時にお坊さんと神官に分けられました。
そして、江戸時代の神仏習合により、今でも神社でも仏像が祀られていたり、
お寺では神様が合祀されているなど、未だに神仏合祠の寺が残っています。
― 神社とは ―
1月1日にお参りに行くのが神社です。
神様に今年も家族が健やかや事業成功など「よろしくお願いします」、
と祈願するために地域の氏神様にお参りすることが目的です。
この習慣は日本古来の「神道」という宗教です。
神社の特徴は
・神様を祀り、神職、巫女さん、宮司などがいます。
・2礼2拍1礼をして参拝したり、玉串を捧げたりします。
・皇室は神道で儀式を行ない、お宮、神宮、大社などがあります。
・他界したら神葬祭を行う。
位牌ではなく霊璽を祀り、仏壇ではなく御霊舎に拝礼、
十日祭・五十日祭・一年祭・十年祭などの祭を神式で行います。
・鳥居をくぐり、狛犬、御神木、神門、祓殿、神楽殿などがあります。
・日本では仏教より歴史が長い宗教で、神道の司祭は天皇と同等の立場にあります。
― お寺とは ―
12月31日にお参りに行くのがはお寺です。
お寺では、ご先祖様へ挨拶をすることが目的です。
挨拶内容は、1年の報告や翌年の希望等、見守って欲しいなどです。
また、今まで1年間の御礼のためです。
お寺の特徴は
・仏祀る。
・僧侶、尼さん、住職などがいる。
・インドを経て中国から来た仏教という宗教です。
・合掌して参拝。線香とお経を上げます。
・皇室では仏教儀式や仏教行事を行ないません。
・他界したら仏葬を行って位牌を祀ります。
仏壇に礼拝、初七日・四十九日・一年忌・三年忌などの法要を行います。
― 神社とお寺に関する確認 ―
・神社に参拝してはいけないのは、喪中ではなく忌中です。
だから忌中の五十日のあと、忌明けしたら神社にお参り出来るようになります。
ただ、世間体を考えたら、地域の風習に合わせても良さそうですね。
・喪中の初詣は、神社の初詣はダメでお寺なら大丈夫などということはありません。
神社でも、お寺でも構わず、鳥居をくぐろうが、参拝をしようが、
お守りやお札を買おうが一向にかまいません。
・忌中はその反対です。お参りはしないで下さい。
厄除けと厄払いの違いと喪中のとき
人生の節目を厄年と呼ぶ習慣がありますが、
厄年は一生のうち数回やってくるもので、何かの厄難に遭遇する恐れの多い年齢を指します。
その厄年には厄除け・厄払いを行いますが、これらの違いを簡単に説明すると、
・厄除けはお寺で行います。
・厄払い(厄祓い)は神社で行います。
― お寺の厄除け ―
災厄が自分に近づかないように、仏教の神様に守ってもらうことです。
厄除けの御守りを身につけている人もいます。
厄年に限らず、災難が続くなと思う人が神社で厄除けのお祓いをしてもらうこともあります。
― 神社の厄祓い ―
災厄をもたらす災いの元を、体から祓い除くために
身を清めたり、お祓いを受けたりすることです。
通常、厄年に当たる人が、年始から節分までの間にお祓いをしてもらいます。
また、厄年でないのに災難が続く場合は、神社でお祓いをしてもらうこともあります。
※神社で厄年に、無病息災の祈願祈祷をしてもらうことを厄払い・厄除け・厄落とし、
とどの言葉で表現しても間違いではなく、大まかに同じような意味で使われています。
厄年表 (数え年になります)
※数え年とは、生まれた年を1歳とします。
喪中と忌中の違いと初詣に行くことのまとめ
喪中と忌中、神社とお寺の習慣の違いを知ると、
今まで漠然と見ていた”喪中 = 初詣・祝い事禁止”という考えが間違っていたと分かります。
しかし、神社の神道も仏教のお寺も50日間や49日間は、
参拝しないという習慣が現在も残っていますが、
それ以外は自分が行っても構わないと決めたなら、どんどん初詣にお出かけください。
近年の初詣は、お祭りがてらお参りするというような風潮がありますから、
是非ともお参りを楽しんできて下さい。
→ 神社とお寺おみくじについて
→ 神社とお寺の作法について