人類がパンを食べ始めたのはいつ頃?日本人が食べ始めたのは?
普段からパンを口にしていますが、日本に伝わったのはそんなに古くありません。でも、世界でパンを食べ始めた歴史はかなり長いのをご存知でしょうか?そんな、人類がパンを食べ始めたのと、日本に伝わった歴史を紹介しますね。
人類がパンを食べ始めたのはいつ頃から?
パンの歴史は約6000年と言われています。つまり、紀元前約4000年の頃には、人類はすでに現在のパンの原型を食べていたという事になります。
麦の食べ方の変化と歴史!
小麦食の変化は2種類あります。小麦の粒食だったのが粉食に。お粥の様に水分の多い食べ方から、焼いて食べる水分の少ない食べ方に変化します。
「重湯→ 粥→ 平焼き→ 無発酵のパン→ 発酵パン」
つまり、お米の様に煮て食べていたのが、粉にして保存するようになり、水を加えて練り薄くして、熱い石に張り付けて焼いて食べる様になり、やがて現在の様に発酵させて焼くようになりました。
パンの歴史は?
小麦の栽培が始まり、その後、粉にして焼いて食べる様になますが、個人で焼く事が禁止されます。国から労働の賃金として配給されるようになり、宗教上で重要な食べ物になり、領主・王家などで管理するようになります。
長い歴史の中で、パンの味・形態・製造過程が変化しても、パンが権力の象徴であることに、変化はありませんでした。
・メソポタミア周辺で小麦の栽培が始まる。
紀元前約4000年
・無発酵の固いパンが作られる。パンの一種、ガレットの誕生。
紀元前約2000年
・パン焼きのかまどが、粗末な粘土から立派な石に変化。
紀元前約1500年
・粉屋の登場。つき臼から挽き臼に変化。
・発酵させて焼いたパンの登場。
・ファラオ王が旅時に、数万個のパンが焼かれた。
・パンは富の象徴となる。
・古代エジプトの月給は、役人は固いパン200個と白いパン5個、農民は90個で、兵士は毎日20個などと伝わっている。
紀元前約1200年
・パンがアモン・ラー神に捧げられた壁画が王家の墓から発見。
紀元前約500年
・ヘレドトスがエジプトに旅をしたとき「エジプト人は、パンを食べる人達だ」という言葉が残る。
紀元前約100年
・ギリシアでパン焼き職人が誕生。
・ローマがギリシアに侵攻。パン焼き職人を奴隷として連れて帰り、パン作りの技術が大きく進展する。この時にローマ人の美食が目覚めたともいわれている。
・ベスビオス山の噴火でローマが溶岩に埋まる。現代の発掘調査で、約30軒のパン製造所が発掘され、当時の製粉機パン焼きかまど、パン焼きの型、炭化したパンなどが発見されている。
約100~200年
・ローマには、推定約250軒のギルド(共同パン焼き所)があった。人口約100万人だったので、約4000人に1軒の割合である。
・庶民が麦の粉を挽き、パンを焼くことが禁止される。
~約1500年頃
・パン製造の技術、味、形などが一定になってくる。
・領主・教会・各貴族などが、パンの製造法などの管理を行う。
・ヨーロッパ各地でパンの地域差が現れる。
1533年
・イギリスが麦を輸入するようになり、パンの質が向上。
・この頃には、貨幣とパンや麦が重要な富の対象であった。
・イタリア・メディチ家のカトリーヌ姫がフランスに嫁入りしたとき、イタリアパンが伝わる。
16~17世紀頃
・大航海時代、アメリカ大陸移住でパンが大量に作られる。
・コロンブスが航海食でビスコッチョというパンの一種を日誌に記載。
・フランス革命(1789年)でマリー・アントワネットの名言「パンが無いならブリオッシュを食べたら?」と庶民を嘲笑する。
~現代
・手ごねから機械製造に変わる。
・発酵のさせ方、焼き方、食感など、質が向上する。
※カイロのエジプト考古学博物館に、遺跡で発見されたパンが展示保存されている。
※ヘブライ人により、古代エジプトへパンの製法が伝わったと考えられている。
※古代エジプトの王家や貴族の墓の壁には、パンが描かれているのが発見されている。
※ギリシア人もパンを食べていたが、ローマ人は麦の粥を食べていたため、「ローマ人は粥食人」と呼ばれたと言われている。
パンは何語?日本に伝わったのはいつ?
横文字は英語と思われがちですが、日本で親しまれている「パン」という呼び方はポルトガル語になります。そんなパンの語源と、日本に定着するまでの歴史はどうなっているのでしょうか?
パンの語源は?
日本ではパンと呼ばれ、英語ではブレッドと呼ばれていますが、語源は「ラテン語のバニス・panis= 食べ物」という言葉が、変化したと考えられています。数か国語を上げると、ギリシャ語以外、スペルが似ています。
ポルトガル・pao
スペイン語・pan
イタリア語・pane
フランス語・pain
英語・bread
パンの日本伝来はいつ頃?
日本は鎖国をしていましたが、一部では海外と交流が盛んに行われていました。その一つがオランダ。鎖国中にも拘わらず、ちゃんとオランダ商館まであったのです。そこへ、フランシスコ・デ・ザビエル(1506~1552年)がパンを伝えたのが、日本のパンの始まりだといわれています。
この頃、伊豆韮山の江川太郎左衛門担庵が、邸内に焼きかまどを作ってパンの普及を試みましたが、失敗に終わります。
パンの普及はいつ頃、どこで始まったの?
富田屋の内海兵吉が、フランス軍のコックから作り方を教わり、見様見真似で、焼き芋釜の様な物で焼きます現在のパンとは程遠く、茹でた団子の様なものでした。
※内海兵吉とは日本で最初にパン屋を始めた人物で、江戸の和菓子屋の息子。
1884年(明治17)、全国にパンを普及指せたと言われている、銀座の木村屋が音楽隊で宣伝を行う。
1887年(明治20)、イギリスのロバート・クラークの店「横浜ベイカリー」で修行をした打木彦太郎(1868~1915)が洋風パンを、横浜の元町で販売始めます。
※万延元、横浜の外人居留地の滞在者数は23名→ 7年後には1130名と急増。
現代の日本のパンとは?
現在、様々なパンが製造・研究・販売されていますが、パンとは国語辞典では次の様に説明しています。
1、小麦粉をライ麦粉主原料にして水でこね、イースト菌を加えて発酵させてから焼き上げた食品。
2、(比喩的に)食物。生活の糧(かて)。また生活。例)セルロイドの塔(1959)。麦につながる縁で、日々のパンを得ていることを。
参考:日本国語大辞典・小学館
最後に一言
数千年の歴史を経たパンは、世界中へ広まりながら少しづつ進歩と変化を繰り返して、現在に至るのですね。それでは、海外へ行く機会があったら、日本のパンを思い出して、違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。