雉の頓使いと鳴女の言葉の由来と使い方!雉との関係は?
春の鳥で知られる「雉」は、古代から親しまれてきた鳥の一種で、古くから「雉の頓使い」という言葉が使われてきました。また、鳴女、別名泣き女と言う人がいますが、雉の頓使いとも関係があります。そんな二つの言葉の由来と使い方を説明します。
雉の頓使いの意味と使い方は?
雉の頓使いと書いて「きじのひたつかい」と読みます。別な字で”雉子(きぎし)”と書く場合がありますが、どちらも鳥の「キジ」で、現在の「雉の古語」が「雉子」となります。この言葉の使い方と意味は次のようになります。
雉の頓使いの使い方は?
行ったまま帰ってこない使者のことを指す言葉で、類義語に「鉄砲玉」があります。大きな違いは、鉄砲玉は刺し違えても相手の命をとり帰ってこなくて良いという立場のこと。
雉の頓使いの場合は、用を足しに目的の場所に行くところまでは一緒。帰ってこない理由は、人質になっている、事故に合った、道草を食っている、相手と揉めて商談中等、様々な事が考えられるけど、帰ってこない理由が分らない場合に使います。
雉の頓使いの意味は?
行ったきり帰ってこない使者のこと。一説に、頓使い(ひたづかい)をつけないで単独でやるのを忌んでいう言葉。
雉子/雉の頓使いのお話!
「雉の頓使い」、どうして雉なのでしょうか?スズメやハトだって鳥ですが、他の鳥ではダメなのでしょうか?この言葉の由来は、雉が登場する国造りの神話の話まで遡ります。
いくら待っても使者は帰ってきませんでした。
次に、天若日子(あめわかひこ)を送ります。
しかし、大国主神の娘と結婚して戻ってきませんでした。
今度は、雉(きぎし)が天若日子がどうなったのか、調べに出されます。
しかし、天若日子はこの雉を弓で射殺してしまいます。
この時放った矢が、天照大神のいる高天原に辿り着きました。
天照大神は、この矢を見覚えがありました。天若日子に与えた物でした。
射手が分かり、天照大神はこの矢を射ち返えします。
すると、天若日子に当たって死んでしまいました。
鳴女の由来と意味は?
雉の頓使いとは全く関係なく思える「鳴女」という立場の人がいます。例えば、葬式で雇われて盛大に泣く人の事です。実は、雉と鳴女は無関係ではありません。
鳴女・泣き女とは?
「泣き女・なきおんな」、または「泣女・なきめ」とも言います。別な字で「哭き女、哭女」と書く場合もあります。中国・朝鮮半島・ヨーロッパ・中東などでは、葬儀で女性が号泣する職業がありました。現在の日本にはない古い習慣です。
日本での鳴女の始まりは?
先程ご紹介した、使いに行った雉の名前を「鳴女(なきめ」と言います。また、この神話に出てくる、天若日子の葬儀のときに泣く役目がいます。
その役を「雉の哭女(なきめ)」といいます。この、雉の名前と鳴く役を合わせて、泣く女の事を「なきめ」と言うようになったという説があります。
※泣く女性の語源が、雉のナキメという確証はありません。日本神話と雉と鳴女の関係のご紹介です。
最後に一言
春の鳥と言われる雉を使った言葉、「雉の頓使い・きじのひたつかい」の意味と使い方、雉のナキメと鳴女の関係をご紹介しました。
ちょっと使いづらいかもしれませんが、部下や上司が「ちょっと野暮用で・・・」と言ったきり戻ってこなないときには、「雉の頓使いですよ」と使ってみてはいかがでしょうか。