トリカブトが薬に使われているって本当?植物の毒と医療の歴史!
トリカブトが毒も持った植物というのは広く世間に知られていますが、昔から薬に使われてきたのはあまり知られていないと思います。そんなトリカブトは、いつ頃から、どんな薬に使われていて、毒になるのはどれくらい量なのかなどを紹介します。
トリカブトはどんな生薬?
「良薬口に苦し」「毒と薬は紙一重」と言いますが、昔から薬として使われてきた食物は、実は毒だった、というのはよくある話です。例えば、水銀が良い例で、摂取し過ぎれば毒になるけど、少量を上手く使うと薬になるとして扱われてきました。例えがしょっと過剰でしたが、トリカブトも、摂取の仕方で毒にも薬にもなると言われた薬物の一つなのです。
トリカブトの薬の成分とは?
アルカロイドという天然由来の有機化合物の一種に「アコニチン」という成分があります。このアコニチンがトリカブトの毒成分で、一定量以上を摂取すると「嘔吐・痙攣・呼吸困難・心臓発作」などを引き起こします。
トリカブトのアコニチンは、葉っぱで作られて塊根(球根)に貯められます。狩りで使われる毒の一種ですが、獲物の命を奪った後、分解されるのが早いので、肉を食べても問題ありません。ただし、口から摂取すると「数十秒で即死する即効性の毒」「解毒剤はない」という大変危険な毒なので注意が必要です。
トリカブトのアコニチンはどんな病気に使われてきたの?
非常に強い毒なので、 そのまま生薬として使うことはありません 。専門医が様々な加工をして、約1/1000位まで毒性を薄めて漢方薬として用いります。こうして薬となったトリカブトのアコニチンは、解熱や風邪薬として用いられてきました。
トリカブトは江戸時代の医療で使われていた?
この植物は、植物学者のシーボルトが、日本の植物をイギリスに送って命名されたのが1938年の事。この時に江戸時代から栽培されていたことが判明しています。そして、栽培していたと言う事は、食べることが出来ないので薬に用いられていた、という事が伺えます。
トリカブトの語源は?
花弁の形が、「鳥兜に似ている」「鶏の鶏冠(とさか)に似ている」「烏帽子に似ている」などと言われています。因みに、鳥兜とは雅楽の衣装の一つで、鳳凰の頭をイメージして、錦や金襴など豪華に作られたものの事。
鳥兜とはどんな植物?
「キンポウゲ科・トリカブト属の総称」で、日本語では鳥兜、英語ではmonkshood。ヤマトリカブトやハナトリカブトなど合計約50種類がトリカブト属にはあります。
この植物の最古の使用方法は、島根県の遺跡の出土品から検出された成分から、弥生時代に狩りに用いられたと言う説があります。また、アイヌが狩りに使用していたことは判明しているので、相当古くから毒性のある植物ということが判明しています。
最後に一言
毒と思われてきたトリカブトですが、古くから解熱や風邪に処方する漢方薬として用いられてきたのです。正に毒にも薬にもなるとはこのこと。ただし、個人で精製して処方は危険なので避けて下さいね。ちゃんとした医者が処方した物だけを摂取する様にして下さい。