衣替えをする日は毎年決まっている?衣替えの始まりと歴史
普段の生活の中で衣替えといえば、季節の変化に合わせて着心地の良い服に入れ替えていると思います。でも、昔から衣替えの日を境に一斉に着る服を変えていました。衣替えの日はいつなのか、またどんな習慣があったのかなどについて紹介しますね。
衣替えの日とはいつ?
最近では、暑がりの人は多少時期がズレても薄着になり、寒がりの人は夏が近づいても厚着をするなど、衣替えの日が曖昧になっています。
その日の天候と、自分の体温感覚に合わせて服を決めることができるというのは、確かに理にかなっていますが、やはり目安は欲しいですよね。
現代の衣替えの日はいつ?
一般的には1年に2回行いますが、この日を過ぎたからといって、季節外れだから着てはいけない、という訳ではありません。
昔と違って寒さ・暑さを感じる感覚が違うので、体調に合った、快適な服装を優先してくださいね。※職場の規則は別ですよ。
●6月1日・・・冬服から夏服
●10月1日・・・夏服から冬服
※南西諸島など温かい地域では、「5月1日/11月1日」として、夏服の期間が長い場所もあります。
衣替え?更衣?どんな意味?
因みに、衣替えとは季節ごとに服を入れ替えることばかりではありません。辞書を参考にどんな意味があるのか紹介しますね。※参照:日本国語大辞典
●季節に応じて衣服を入れかえること(服の入れ替え)
●男女が互いに衣服を交換してきること(服の交換)
●天皇の着替えの役目を務める女官の職名のこと(官職)
衣替えの習慣はいつから始まったの?
私たちは、無意識で「季節が変われば服を入れ替える」という行為を行っていますよね。でも、昔の宮中の人達は、定められた日を境に着るものを入れ替えていました。
衣替えの始まり
衣替えは、平安時代に始まり、宮中の年中行事の一つとして定着するようになりました。当時も1年に2回行われ、旧暦で表すと・・・・
●4月1日・・・夏装束
●10月1日・・・冬装束
どんな資料が残っている?
後醍醐天皇が残した「建武年中行事」に、衣替えについて記載されています。参考にどうぞ!
「4月ついたち、御衣がへなれば、ところ~御装束あらたむ。御殿見帳のあたびらおもてすずしに、ごふんにて絵を描く。壁代(かべしろ)みなてつす」
衣替えの決まりは?
江戸時代頃になると、宮中の年中行事から次第に世間に広まり、武士の世界にも浸透して、幕府が1年に4回行うことを定めるようになりました。
木綿が広まり、生地の質も向上するようになり、宮中の更衣は、装束と一緒に室内の飾りも季節に応じたものに改められていたといわれています。
●5月5日~8月晦日・・・単帷子麻布(ひとえかたびらあさで)
●9月1日~8日・・・袷小袖
●9月9日~3月晦日・・・綿入小袖を着用
衣替えの歴史について!
現在定着している衣替えはいつ頃、定着するようになったのでしょうか?
平安時代~江戸時代
先ほど説明した通り、衣替えは平安時代に始まって、旧暦に従って衣替えの日を決めていました。
「4月1日から夏装束、10月1日から冬装束」
明治時代頃~
明治時代に新暦が採用されましたが、それに伴って衣替えの日も改めて設定されたんです。ただし、この当時は、衣替えが世間一般には浸透していなくて、主に公務員(役人、警察官など)の制服を替える日を定めるものでした。
「6月1日から夏服、10月1日から冬服」
近代~現在
役人たちの習慣が次第に、学校や企業や家庭に広まって浸透して、現在行われている衣替えとして定着しました。ところが、制服の機能性や生地の質が向上、またそれぞれで過ごしやすいスタイルが認められて、衣替えという習慣が薄れ始めています。
「6月1日から夏服、10月1日から冬服」
更衣祭という衣替えのお祭りとは?
神御衣(かむみそ)という、神様が着る服を入れ替える為に、「更衣祭」というお祭りが行う神社があるんですよ。
菅原道真を祀る福岡県の大宰府天満官では、毎年1年に2回「春の更衣祭」「秋の更衣祭」が行われます。
●春・・・4月20日に単の羽二重に
●秋・・・11月20日には袷の綿
最後に・・・
衣替えという言葉には4種類もあるんですね。
「タンスの中の夏服と冬服を入れ替える衣替え」
「普段着る服を着替える衣替え」
「着ている服を交換する衣替え」
「天皇の着替えを務めていた官職の衣替え」
そして衣替えの日とは、6月1日と10月1日が日本で定められている日となります。それでは、これらの日を目安に夏服と冬服に入れ替える準備をしてくださいね。